横浜お灸研究室 関元堂

横浜市のお灸専門 関元堂

痛みと構造

お灸の効果として、神経への刺激か抑制に作用する可能性があると思っている。

 

患者によっては、痛みや症状が片側に偏ることがある。

 

これは個人的には左右の腎臓の下垂や肝臓、左右の肺の状況、心臓の関係などではないかと思うこともある。それと内臓体性反射である。

 

腰痛にしても、背部痛にしても、首の痛みや肩こりにして、左右に偏ることもある。また上半身と下半身で症状の偏りが変わることもある。

 

例えば、右側の肩こりと腰痛がある場合、右後頭骨の一点に圧痛が出ることもある。この圧痛は、内臓の反射と考えることもできると思う。また交感神経と副交感神経の調整に影響を与えている可能性もあると思う。内臓反射に関しては、迷走神経との関係があるのではないかと思っている。

 

脊柱周辺の虚のコリがあるツボに対して、お灸をすると後頭骨の圧痛に影響が出るようである。また上部胸椎や中部胸椎周辺の圧痛のあるツボにお灸をすると、後頭骨の圧痛に影響が出るようである。これは血管運動神経が胸椎1番から出ていることから、上部胸椎、中部胸椎のお灸は効果的なのではないかと思っている。伝統灸法で脊柱(督脈)周辺のお灸をすることは意味があると思う。

 

 

後頭骨の奥には、脳室の脈絡叢があり、脳脊髄液を関係している。そして脳脊髄液は脊柱に流れている。ここから反射関係があるのが予測される。脊柱へのお灸は髄膜に作用すると思うので、脳脊髄液の圧力にも影響があると思う。この脳脊髄液の圧力の変化が脳室の脈絡叢に影響して、後頭部に反射痛が出る可能性がある。

 

脊柱周辺には、人によっては、ボコボコとした窪みが発生している可能性がある。この窪みに対して、お灸をすることも有効だと思う。ただし、お灸の熱による圧刺激は、背部に痛みを誘発する原因になることもあると思う。

 

脳脊髄液は、後頭部と仙骨の間を循環しているが、仙骨に対する刺激も脳脊髄液に影響を与える。伝統的に腰部八点灸や八膠の灸穴法が効果があるのもこのようなことから理解できる。

 

手技療法の世界でも仙腸関節の配置の問題から、症状の原因になるということを考えても、仙骨の構造的な問題も、症状改善の原因の指標になる可能性があると思っている。

 

仙腸関節に関しては、随意的に動かす筋肉はないのかもしれないが、大腰筋の収縮が改善されることで、安定することもある。しかし、仙骨自体の問題は、梨状筋の緊張や弛緩が原因のこともある。

 

骨盤の安定がお灸においてもなぜ重要かというと、腸骨と腕を繋いでいるのは、広背筋である。つまり、肩こりや五十肩などの肩の問題も、骨盤の不安定さが関与している可能性もあり、その骨盤の不安定さは、腸骨、仙骨、仙腸関節、大腰筋、梨状筋、殿筋、仙腸靭帯などが中心になる。そして大腰筋が収縮する原因は腎の疲労による下垂のこともある。五十肩と腎はこのようなことも関係があるのではないかと思う。

 

仙腸靭帯の異常は、腸骨の回転変位を生み出し、広背筋が収縮して後方に牽引されることで、上腕部が下方に牽引されることで、肩峰が引き下げられて、その影響が胸鎖乳突筋が緊張して、鎖骨や頚椎にも問題も起こることがある。