横浜お灸研究室 関元堂

横浜市のお灸専門 関元堂

お灸と脈診

脈診をお灸治療で活用する場合、脈状から配穴へと直接結びつけるのは、なかなか難しい。

 

ただし、片方の手で脈を感じながら、もう片方の手でツボの触診をすると、異常のあるツボを触れた場合に脈状が変化することもある。

 

そのようにしてツボを見つける方法もある。ただしこの方法は時間がかかる。繊細な感覚も必要で簡単ではない。

 

お灸治療前後に脈状をみて、変化を確認をすることは治療効果を確認する上でも大切である。お灸の刺激量の調節にも脈状は参考になる。お灸の加減の目安として単純に脈状を考えることもある。

 

 

脈状は、強さ、弱さ、太さ、細さ、速さ、遅さ、硬さ、柔らかさなどをまず基本にする。

 

これであれば、そんなに難しいことではない。

 

例えば、脈が強かったら、脈を落ち着ける。脈が弱かったら、脈を力強くする。脈が速かったら、落ち着ける。脈が遅かったら、勢いをつける。脈が細かったら、太くする。脈が硬かったら、柔らかくする。治療でこのような変化を出せるようにするのが理想である。

 

ただし、無理な変化、急激な変化はかえって体に対して負担がかかる可能性がある。

 

心疾患、脳疾患などの既往歴がある人はもちろんだが、高血圧、低血圧など血圧の問題がある人も脈が安定しないことが多い。それと自律神経が不安定な人や神経質な人も脈が安定しないことがある。

 

脈も拍動の他、呼吸のリズムもみる必要がある。さらに軽く触れ、意識を集中するとそれ以外のリズムを感じることもある。

 

六部定位も参考にしているが、寸関尺を上焦、中焦、下焦にわけて、さらに左右差をみることも大切ではないかと思っている。虚実や熱の状態をどこの部位で起きているのかを診ていく。

 

個人的にお灸の場合、まず腎を中心に考えて、次に脾を考えている。この考えは単純すぎて批判されることもあるが、自分なりの基準があった方が治療の目安やベースが考えやすいので、このような考え方をしている。

 

五臓六腑を中心に考えるのではなく、まず丹田を中心に考える。腹診も下腹部を中心に考える。丹田に気が満ちた場合、心臓に対する圧力が減り、脈も変化すると思っている。中脘へのお灸も胃への圧迫が減少すると、心臓に対する圧力も減り、脈にも変化が出ると思う。

 

全身への調整力を考えた場合、丹田に気に満ちることは免疫力の向上に近いと考えている。その後、五臓六腑や症状を中心に考えていくことを大切にしている。

 

証の前の段階の治療が基本で、それをまず重視するという考え方になる。

 

 

漢方のある流派で、背部のお灸をして、邪を腹に浮き上がらせた後、腹診を行い診断を行うという考え方を参考にしている。

 

つまり診断前の治療という考え方になる。